こんにちは。管理人のキノです。
【Review】では、最近読んでおもしろかった作品をご紹介しています。
今回ご紹介するのは、エッセイ「パリの日々 言語哲学者の休暇、あるいは字幕翻訳者のプロローグ」(丸山直子・丸山垂穂著)です。
この本には、著者の丸山直子さんが家族で暮らしたパリでの1年間が描かれています。1978年の話なので情報として古さはありますが、時を経ているからこそ変わらない憧れや苦労におもしろさを感じる1冊です。
あらすじ
1978年、かの大著『ソシュールの思想』を世に問う前夜、丸山圭三郎は、家族を伴いパリに一年間暮らした。
パリで一服の解放感を味わう夫と、現地でことばを覚え、とまどいながらもフランスにとけこんでゆく娘。その生き生きとした姿を、当時のパリの空気とともに、妻であり母親の視点から描く。
---そして娘は字幕翻訳者への道を選ぶ。
引用元:三修社「パリの日々 言語哲学者の休暇、あるいは字幕翻訳者のプロローグ」
おすすめ度&おすすめしたい人
この本の大部分は1978年のお話なので、最新の情報を求めている人向きではありません。ですが、現在とのパリとの違いや、変わらぬ魅力を発見する楽しさを味わうことができます。
おすすめ度 ★★★☆☆ |
- パリが好きな人
- リアルなパリ暮らしを覗き見たい人
- パリでごはんを食べた気になりたい人
作品の魅力と感想
この作品の魅力は?
・パリ暮らしの楽しさと苦労の両方が小気味よく書かれている
新鮮でおいしい野菜やお肉。
店主と会話をしながら買い物をするマルシェ。
フランスで出会った友人とのホームパーティー。
南仏で過ごすバカンス。
この本には、そういう憧れのパリ暮らしがたくさん書かれています。
でも『オシャレでいいなあ』と読んでいると、ひょっこり『これだからフランス人は!』という苦労話が出てくるからおもしろい。
自分に非があっても謝らない。
店員さんが不愛想。
下手なフランス語は無視される。
家や電化製品の修理を頼んでも、ちっとも来ない。
この本を読んでいる最中、私は友達から海外生活を聞いているような気持ちになりました。楽しさも苦労も軽快な文体で書かれているから、気負わないおしゃべりを聞いているように頭の中に入ってくる。だからこそ、著者が経験した等身大のパリ暮らしの魅力と奮闘ぶりが感じられて、とても楽しく読むことができました。
「パリの日々 言語哲学者の休暇、あるいは字幕翻訳者のプロローグ」は、日本にいながらパリを楽しむことのできる、とても素敵な本です。
・星付きレストランから家庭料理までフランスのおいしいを堪能できる
著者も本文中で述べているのですが、この本には食べ物がたくさん出てきます。
星付きレストランから近所のビストロ、パン屋さん、ホームパーティーのおもてなし料理、普段の食卓、マルシェの食材などなど、それはもうたくさん!
(インターネットもない時代に、1年でこれほど挑戦した著者に脱帽!笑)
中でも私が惹かれたのは仔牛を使った料理。
ステーキやら煮込みやらフランスっぽくて妙に憧れてしまいました。
(パリのアパルトマンで時間をかけてコトコト煮込んだ仔牛の料理って、何だか絵になると思いませんか?どんな味がするのかな?)
他にもポトフやタルトタタンがとてもおいしそうでした。
そして、この2つはレシピが載っていたので、そのうち作ってみようと思っています。
(いつになるかは分からないけれど。笑)
素直な感想は?
時代を超えたパリの魅力を痛感した
古いエッセイだからこそ、今も昔も変わらない、普遍的なパリの魅力が伝わってきました。
(日本の景気が良くて、テロやコロナの話が全く出てこないのがすごく新鮮でした。)
顔なじみのお店で自分好みの食材を買う。
行きつけのお店でごはんを食べる。
カフェやビストロ、自宅で友人たちと気の置けない時間を過ごす。
40~50年前もフランス人はそういう風に暮らしてきたし、それは今もあまり変わっていない。そして、それが素敵だなと感じました。
今の私の生活は便利で気楽だけれど、少し不便で面倒くさくても、自分のスタイルを持って、大事な人との時間を楽しんで生きていきたいと思わせてくれました。
感想メーター
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まとめ
「パリの日々 言語哲学者の休暇、あるいは字幕翻訳者のプロローグ」は、パリで1年間暮らすことになった家族の暮らしぶりを描いたエッセイです。フランスのおいしい料理の話や日本とは異なる生活習慣、異国の地で暮らす苦労話などが軽快に綴られています。
パリが好きな人はもちろん、パリごはんを食べた気になりたい人におすすめの作品です。等身大の生活が書かれているので、友達から話を聞いているような気分で読み進められます。興味のある方は、ぜひ読んでみてください。