【Review】では、最近読んでおもしろかった作品をご紹介しています。
今回ご紹介するのは「AX アックス」(伊坂幸太郎著)です。
「グラスホッパー」「マリアビートル」の続く殺し屋シリーズの第3作目。
血生臭い場面だけでなく、最強の殺し屋が妻にビクビクする描写がクスっと笑える、家族愛に溢れた作品です。
殺し屋シリーズの新作「777」が2023年09月21日に発売されたよ!
基本情報
タイトル | AX アックス |
著者 | 伊坂 幸太郎 |
出版社 | KADOKAWA |
ページ数 | 384ページ |
発売日 | 2020年2月21日 |
あらすじ
最強の殺し屋は――恐妻家。
物騒な奴がまた現れた!
物語の新たな可能性を切り開く、エンタテインメント小説の最高峰!「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。
引用元:KADOKAWA文芸WEBマガジン カドブン 伊坂幸太郎 殺し屋シリーズ「AX アックス」
一人息子の克巳もあきれるほどだ。
兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。
引退に必要な金を稼ぐため、仕方なく仕事を続けていたある日、爆弾職人を軽々と始末した兜は、意外な人物から襲撃を受ける。
こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない。
感想
「グラスホッパー」を発売当時に読んで『おもしろい!』と思ったものの、そのまま15年もの月日が流れ…苦笑
映画「ブレット・トレイン」を観て改めて殺し屋シリーズが読みたくなり、「AX アックス」を読み始めました。
主人公の兜は殺し屋です。
『最強の殺し屋』と呼ばれる男ですが、息子に呆れられるほどの恐妻家でもあります。
殺しの時は迷いなどないのに、妻の前ではビクビクしてしまう。
仕事はサクッと片づけてしまうので、正直あまりスリリングな感じがなかったのですが、妻の顔色をうかがって意見をころころ変える様子は非常におもしろかったです。
兜と家族の日常は読んでいてクスっと笑える楽しいものでした。
家で小さくなっているお父さんってこんな心境なのかな…と考えてしまったり。笑
ただ、「グラスホッパー」のスリリングかつ、いろんな角度から話が交差していくイメージで「AX アックス」を読み始めたので、『殺し屋シリーズってこんな感じだったっけ?』と正直物足りなさも感じていました。
ですが、最終章に入る直前に記された一文を読んで驚愕。
『え?といいうこと?!』と、そこからは一気読みでした。
終盤の勢いはさすが伊坂幸太郎!
この作品は、何も感じずに殺しを行ってきた男が家族を持ち、家庭を築いたことで自分の仕事から離れたくなる様が静かに、でもユーモラスに語られます。
悲壮感がないから軽く読めるし、家族の話でほのぼのしてるけど、よく考えたらすごく重たい話です。
淡々とこなされる仕事と、温かい家庭の話。
両方が描かれているからこそ、兜が積んできた業と幸せになる権利について考えさせられました。
自分の行いは自分に返ってくるのか。
自分だけでなく、大事な人に矛先が向かったらどうするのか。
この作品は殺し屋の話というよりは、家族を愛し、これ以上息子に誇れないことをしたくないと現状に抗う父親の話なのではないかと思いました。
おすすめ度&おすすめしたい人
おすすめ度 ★★★☆☆ |
- 家で小さくなっている父親の気持ちを理解したい人
- クスっと笑いたい人
- 終盤に「マジか!」と驚きたい人
お得に読む方法
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まとめ
「AX アックス」は、仕事を辞めたいと考えている殺し屋の話です。サクッと敵を片付けるカッコよさと、妻に怯えてビクビクするギャップがたまらなくおもしろい!終盤には驚きの事実があり、それを解き明かしていく過程は非常に引き込まれるものがあります。
有名な作品なのですでに読んでいる方も多いと思いますが、まだ読んでいない方はぜひ読んでみてください。